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現在、PC版旅譚のトップページにある本編紹介文です。
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吟詠旅譚

世界が混乱にうちふるえる間、人々は、それに打ち勝つ英雄を求めた。
天の加護と地の恩恵と、そして、何より人々の願望を受け、その英雄は武器を取る。
しかし世界に平和が訪れた時、英雄は歴史の表舞台に立つことを許され得なかった。
平和な世界に、力を持ちすぎた者の存在は受け入れられなかったのだ。

――物語の始まりは数千年の後、誰もが英雄の存在を忘れた頃にやってくる。
理由なんて、ここにはない。
打ち捨てられた英雄が、それでも尚、己が世界を愛したように。

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風の謡

クラヴィーア国、第三王子アルトに与えられたものはたったの三つ。それだけだ。
王子としての位、都からは遠く離れたマラキア宮、そして平穏。
考えてみもしなかった。外の世界がどのようなのか、この平穏が、一体いつまで続くのか。
「風は、自分の意志で駆けるんだ」
差し延べられる、手などなくても ―― 差し延べることができたなら。
歩む道に、後悔しても ―― 隣に誰かがいてくれたなら。
孤独な風のそよ吹く場所に、忘れられた時代の、傷跡があった。

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海の謡

「君、今すぐあの国を出た方がいい。藍天梁の女帝……藍の魔女は、君に不幸をもたらしかねないからね」
魔女の国と呼ばれ、恐れられる藍天梁国は、紫萌にとっての全てだった。
生まれ育ち、知識を蓄え、様々なものを育んだ場所。
「あの力を持つ、おまえの身を守るには、こうするのが一番いいの」
簡単に捨てることなど、できはしない。けれど誰もが、紫萌を故郷から遠ざける。
この場所の他に、いるべき場所などいりはしない。
「私は、帰る。……自分の身を、自分自身で守れるようになったその時には、必ず」
ただただ一途な郷愁の思いが、いずれ世界を変える大きな力に飲み込まれていく。

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太陽の謡

「なぜ、みんな僕を恐れるの?」
人にはあり得ない三つの目を持ち、それ故に隔離された日々を送るラトは、いつでも自分にそう問いかけた。
羊を育て、人の言葉で話し、食べ、眠り、笑って、泣く――。
一体、どこが違うというのだろう?
ラトを育てた、占い師はこう言った。
『私はお前には、不思議な力が備わっているんじゃないかと思っているよ。誰かを助けることのできる、優しい力がね』
英雄の眠るこの大地で、ラトに与えられたものとは……

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読んでみようか迷われている方・今既に読んでくださっている方どちらもへ向けた紹介文だったので、あえて第一章についてはちょびっとネタバレさせてみました。
それと「吟詠旅譚」については、序章に載ってるものほぼそのままです。あの序章、影が薄いんでもしかして、気づかれないこともあるのではと思って(笑
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(C)制作手帳 / ブログ管理者 里見 透
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